日本酒の甘口と辛口の違いとは?自分に合う日本酒を知りたい方への日本酒豆知識
目次
“甘口・辛口”ってどんな味?
日本酒はワインと同じように、「甘口」と「辛口」に分類されることがあります。
ここでは、日本酒における「甘口」「辛口」、それぞれの風味の特徴や料理とのペアリングの方法を解説します。
「自分の好みが甘口か辛口か分からない」
「プレゼントするには、甘口と辛口のどちらを選べばいい?」
「よく言われるフルーティーな味ってどんな味?」
このような悩みをお持ちの方はぜひ参考にしてみてください。
【甘口】は余韻が長い!
甘口と言われる日本酒は余韻が長いのが特徴です。口に甘みが残るので、飲んだときに重い感じもします。
これは糖が水よりも重いことが理由です。
「甘ったるい」「ベタベタする」と表現されることがありますが、それは甘みが味覚の中でも非常に強いインパクトを持っていることが影響しています。
初心者には甘口の日本酒が飲みやすくてオススメです。
香り高くフルーティーな日本酒や、シュワシュワと弾ける炭酸ガスが含有された日本酒にも甘口が多く、女性や初心者に人気があります。
甘口に合う料理や呑み方
甘口の日本酒は、甘みが料理の味を邪魔してしまうので食中酒には向かないと言われます。
一方で、甘口の日本酒は単体で楽しめるのがポイント。シャンパンのように、おつまみなしでそのままでも美味しく飲めます。
ペアリングするなら、同じく甘い風味を持つ野菜の煮つけや、豚の角煮と好相性です。
また、スパイスをふんだんに使った料理にも合います。タンドリーチキンのようなインド料理や、東南アジア料理と合わせてみましょう。
軽いおつまみと合わせるなら、甘みのあるクリームチーズがオススメです。
【辛口】はスッキリ!
辛口の日本酒はスッキリと喉ごしが爽やかで、キレがあるのが特徴です。「辛い」という表現が分かりにくければ、「甘くないお酒」と考えてもらえればいいでしょう。
辛口の日本酒は、糖が少なく甘みが抑えられているため、うまみや酸味など、日本酒本来の味わいがきちんと感じられます。
甘いお酒が好きな方や初心者の方にとってはやや飲みにくく感じるかもしれませんが、日本酒好きな方から好まれるのは辛口です。また、シニア層や男性からも辛口が好まれる傾向があります。
辛口に合う料理や呑み方
辛口の日本酒は万能で、料理に合わせやすいのが特徴です。
素材の味を際立たせるところが辛口の日本酒の強み。ビールと同じような感覚で、何にでも合わせられると考えていいでしょう。
ペアリングとして相性がいいのは、さっぱりした白身魚や脂がのった青魚。刺身でも焼き魚でも酒蒸しでも、どれも美味しくいただけます。
湯豆腐や鍋料理にもよく合います。
淡白でさっぱりとした料理に合わせると、お互いを高め合う効果が1番高いと覚えておきましょう。
【辛口】【甘口】の見分け方
日本酒の「甘口」「辛口」を見分ける場合は、「日本酒度」の数値を参考にしましょう。
日本酒度は、日本酒に含まれる糖分の量を数値化したものです。
日本酒度の測定には日本酒度計が用いられ、浮き沈みで日本酒度を判断します。
日本酒度計は、水より軽い日本酒に浮かべると+(プラス)の値を示し、水より重い日本酒に浮かべると-(マイナス)の値を示します。
ラベルでの見分け方
日本酒の瓶のラベルには、たいてい日本酒度が記載されています。
糖分は水よりも重いため、日本酒度は-(マイナス)になります。-(マイナス)の数字が大きければ大きいほど、甘みの強い日本酒ということです。
ラベルに日本酒度と併せて、酸度が記載されている場合もあります。
酸度は文字通り酸味を表す数値です。
酸度が高いと日本酒全体がしまった味になり、糖度が高くても料理に合わせやすくなります。
一般的に、日本酒のラベルに記載している情報は、ほかの商品に比べて少なめです。
ですから、日本酒は酒屋さんで話を聞いて買うのが1番!
料理の好みや飲用頻度、年齢や性別などの情報を参考にして、合いそうな日本酒を選んでくれるはずですよ。
スーパーなどで買う場合は、メーカーのホームページにより詳細な情報が載っている場合があるので、参考にしてみてくださいね。
種類による甘さの傾向
一般的に、日本酒の中で大吟醸酒、純米大吟醸酒は甘みを残す傾向があります。
やや高価ですが、甘口を探したいときは大吟醸酒、純米大吟醸酒から選ぶのもひとつの方法です。
また、生酒は普通の加熱処理した日本酒よりも甘みを感じることが多いです。
ただ、辛口の生酒の場合は甘みを感じる一方で、糖の比重が軽いので口に残らず、後味はスッキリしています。
このように、日本酒度の甘口・辛口というだけで一概に判断できないのは、日本酒の味わいが香りや酸味、うまみなどの複雑な要素が絡まり合って形成されていることに由来します。
日本酒度はあくまでも1つの基準として考えましょう。
【辛口】【甘口】以外の味の違い
日本酒の味わいは甘口・辛口とは別に、度数や精米歩合によっても感じ方が変わります。
ここでは、度数や精米歩合に着目した味わいの違いについて解説します。
度数が上がるとキレのある味に
日本酒はアルコール度数が高いほどキレが増します。キレがあるとは、後味がスッキリしているということです。
アルコール度数が高い日本酒は、そのインパクトゆえに辛口に感じます。
キレがある日本酒は口の中に残らないので飲み飽きせず、どんな料理とも好相性です。口の中がサッパリするので食事もお酒も進む、相乗効果を生みます。
精米歩合によってうまみが変わる
日本酒の原料となるお米をどれだけ磨いたか(削ったか)を表す精米歩合。精米して残った米の割合をパーセンテージ(%)で表しています。
精米歩合が低ければ低いほど(磨けば磨くほど)、スッキリした味わいになります。
米の栄養素が削られるのでうまみやコクがやや控えめになる一方で、香り高くクリアで雑味のない味になるのが特徴です。
根強い日本酒ファンは辛口を好む傾向
昔からの根強い日本酒ファンはしっかりとした味わいとキレのよい辛口酒を好む傾向にあります。
昔は「三増酒」と呼ばれる糖類を添加した甘い日本酒が一般家庭に流通しており、その後、端麗辛口の日本酒が流行ったという時代の流れがありました。
そこで生まれた上質な日本酒は辛口だというイメージが、辛口志向につながったとも言われています。
ただ最近では、日本酒初心者や他品種のお酒のユーザーの取り込みを狙った甘口フルーティー系のお酒は需要が強まっているように感じます。
また、地域による好みの差も見受けられます。首都圏ではフルーティーで甘口な日本酒に人気が集まる一方で、全国の地酒ファンの間では辛口が根強い人気です。
一概には言えませんが、年齢層が高い方や男性、日本酒をよく飲む方は辛口を好む傾向があります。父の日のプレゼントや目上の方への贈答品には辛口を選ぶと喜ばれるでしょう。
初心者や女性、30~40代の男性には甘口が好まれます。ただ、20代女性は冒険心が強く、辛口にチャレンジする方も多いです。
初心者が飲みやすさを感じるのは甘口
日本酒を飲む機会がこれまで少なかった方や、これから日本酒に挑戦しようと思っている方には、断然甘口がオススメ。口当たりがやさしく、酸味や苦みなどの刺激が少ないので飲みやすいです。
アルコール度数が低い日本酒も比較的甘く感じられるうえ、酔いにくいので飲みやすく感じるでしょう。
生原酒やにごり酒は、瓶の中で酵母の発酵が進む自然の力で微発泡タイプになります。炭酸の爽快な喉ごしがアルコールのインパクトを抑え、飲みやすくなるのでオススメです。炭酸ガスをあとから注入したタイプもあるのでチェックしてみてください。
「フルーティーな日本酒」って、どんな味?
フルーティーな日本酒というのは、果物のような甘い香りが際立ったもののことを指します。
以前は、日本酒の香りは杜氏の技によって生み出されるもので、バナナや洋ナシに例えられるような淡い香りでした。
しかし、近年は簡単にいい香りを出せる酵母が開発されたため、パインやアップルのような強めの香りの日本酒を作ることができるようになりました。
これが、日本酒の裾野を広げようとする時代の流れにマッチして、フルーティーな日本酒の流行りにつながったと考えられます。
一般的にフルーティーな日本酒は、甘い香りに合わせて甘口のお酒に仕上がっています。